食べない理由から戦略を練る|痩せ犬への介入は「ただ食べさせれば良い」のではない

体重増加

7歳で1.26kgという、驚くほど小さな痩せトイプードルの「マロン」をお迎えしました。

お迎えする前は「食べないってどういうことだろう? 美味しいフードに変えれば食べるのでは?」と甘く考えていましたが、実際に一緒に暮らし始めてその“食べなさ”を目の当たりにすると、飼い主として、そしてナースとしても困り果ててしまいました。

愛犬が痩せていると、どうしても「とにかく何でもいいから食べさせなきゃ!」と焦ってしまいます。しかし、原因を無視した見当違いの介入は、偏食を悪化させたり、かえって愛犬の健康を損ねたりするリスクがあります。

なぜ食べないのか、その理由が分かれば、然るべき対処法(介入アプローチ)が見いだせるはずです。今回は、一般的に言われる「犬がフードを食べない5つの理由」と、我が家のマロンの事例を交えながら、愛犬に合った対応をする大切さをお伝えします。

犬がフードを食べない5つの理由とアセスメント

① そもそも十分な量を食べているから

愛犬が十分な量を食べているにもかかわらず、飼い主側が「もっと食べさせなければ」と理想を高く持ちすぎているパターンもあります。今与えている量は適切なのか振り返る必要があります。

💡 対処法:まずは体型を確認(BCSの評価)

ペットフードの袋に記載されている給餌量は、あくまで平均的な「目安」です。まずは「ボディコンディションスコア(BCS)」を基準に、愛犬の今の体型を客観的に評価しましょう。

ボディコンディションスコア(BCS)は見た目と触れた状態から、体型(特に脂肪の付き具合)を9または5段階で評価します。なお、現在の体重とBCSから理想体重を求めるには、獣医師に診てもらうことをおすすめします。

引用:環境省HP https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/6.pdf

BCS 3の理想体重の場合、無理に食べさせる必要はありません。一度かかりつけの獣医師に相談し、その子にとっての適切な摂取カロリーを一緒に計算してもらうのもおすすめです。

我が家のマロンの場合 🐾
BCS 1です。写真ではわかりにくいですが、触れると肋骨も背骨も骨盤も簡単に触れます。

② 他に「美味しいもの」を知っている(知恵比べ)

犬は美味しさを主に「嗅覚」で感じています。
犬にとって「良い匂いがするもの=美味しいもの」なのです。

特におやつは食いつきが良くなるように香りの工夫が強くされていますが、おやつばかりを食べていると栄養バランスが偏ってしまいます。おやつはあくまでコミュニケーションの手段。おやつの味を覚えたことで、肝心の総合栄養食(フード)を食べなくなってしまっては本末転倒です。

また、人間のご飯をお裾分けしてもらったり、盗み食いをしたりする習慣がある犬も同様です。トイプードルは非常に知能が高いため、「今より美味しいものをもらえる」という蜜を味わってしまうと、いつものフードを食べなくなる場合もあります。

我が家のマロンの場合 🐾
うちのマロンは鶏ささみが大好きです。調理中の匂いだけでもクンクン探しています。
ささみをトッピングすると、ささみしか食べないのでトッピングは辞めました。

③ 体調が悪い(急性・慢性の疾患)

人間と同様に、どこか体に不調や痛みがあれば、当然食べる量は少なくなります。

まずは家庭で簡単に観察できる「消化器症状」に注目しましょう。特に観察しやすいのは「うんち」です。下痢をしていないか、回数が増えていないか、おならや便の匂いがいつも以上に臭くなっていないか。また、何度も吐いてしまう(嘔吐)ようであれば、たとえ食べていたとしても体重は増えません。

さらに、外から見えにくい原因として以下のようなリスクも潜んでいます。

  • 痛みを伴う疾患: 骨折や関節の痛み、あるいは歯周病などの激しい口内炎。
  • 目に見えない内科的疾患: 甲状腺機能低下症などのホルモン異常や、内臓の慢性疾患。

④ ホルモンの影響

去勢をしていない男の子(未去勢犬)の場合、性成熟に伴うホルモンの影響や、近くのメス犬のフェロモンを察知したことによるストレス・興奮から、一時的に食欲が著しく落ちてしまうことがあります。

我が家のマロンの場合 🐾
7歳まで未去勢でしたが、増量目的で去勢しました。

⑤ 遺伝的要因(生まれ持った体質)

ジャパンケネルクラブ(JKC)の規定ではプードルの中で一番小さい分類が「トイプードル」ですが、ペットショップなどでは「タイニープードル」や「ティーカッププードル」といった、より小さな名称で呼ばれる犬たちがいます。

プードルの俗称平均体高平均体重
トイプードル(公式)約24~28cm約3~4kg
タイニープードル(非公式)約20~24cm約2~3kg
ティーカッププードル(非公式)約18~22cm約1.5~2.5kg

引用元:子犬を見つける検索サイト 愛犬ブリーダー https://aikenonline.jp/article/1722

我が家のマロンの場合 🐾
マロンは血統書上は「トイプードル」ですが、実際の今のサイズを見ると、完全にティーカッププードルの規格に収まります。

人為的に小さな犬を生み出す歴史の中で、小さい犬同士を交配させてきた背景があります。そのため、小さな体を維持している犬たちは「もともと少食である」「骨格自体が大きく育たない」といった遺伝的背景を持っている可能性が非常に高いのです。マロンを見ても、細いだけでなく体高自体が極小です。小ささに価値を見出されて作られた歴史の背景を考えると、彼らの少食は先祖から受け継いだ「個性(遺伝)」なのかもしれません。

まとめ:ただ食べさせるのではなく、まず「観察」から

愛犬が痩せていると、つい目の前の一喜一憂に振り回され、「食べてくれるなら何でもいい」とおやつや人間の食べ物を追加してしまいがちです。しかし、それでは根本的な解決にならないばかりか、隠れた病気を見落とす原因にもなります。

介入の第一歩は、徹底的な「観察(アセスメント)」です。

闇雲に食べさせるだけではなく、まずは愛犬がどのパターンに当てはまるのかを明確にし、原因に直結した対処法を選ぶことが大切です。

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