7歳のトイプードル「マロン」をお迎えしました。食べムラが激しく、BCS1という痩せ型の犬です。
体重を増やすために試行錯誤してみましたが、あまり変化がないため去勢手術をしました。回復も良好で元気いっぱい走り回っています。
前回の記事で「去勢後、欲求が目覚めて元気になった」とお伝えしたばかりですが、そんな矢先に事件は起きました。 「なんでもない普通の日」が、一瞬にして緊急事態に変わった記録です。
絶好調から一転。ソファの昇り降りで起きたアクシデント
その日、私が仕事から帰宅すると、マロンはいつも通りケージの中で「早く出して!」と言わんばかりにぴょんぴょん跳ねて迎えてくれました。
ケージから出すと、私を追いかけて部屋中をダッシュ。ソファに飛び乗り、飛び降り、また走る……。我が家では当たり前の、微笑ましい光景でした。
「さあ、ごはんの時間だよ」
帰宅してから、わずか7分後のことでした。 夢中でご飯を食べ始めたマロンの様子に、強烈な違和感を覚えました。
右手(右前肢)をだらんと挙げたまま、左手だけでバランスを取って食べているのです。 それでも食べるのをやめない食欲に驚きつつ、いくつか動作を確認しました。
- お座り: 右手が地面につけられない
- 歩行: 完全に3本足での歩行(ケンケン状態)
優しく触診してみましたが、明らかな変形はなく、触っても痛がる様子はありません。しかし、頑なに右足を地面につけようとしない様子に、私の脳裏には「折れている」という確信に近い予感がよぎりました。
すぐに動物病院へ連絡し、時間外でしたが診察していただけることになりました。
衝撃の診断:第2中手骨の骨折と「謎の遺留物」の発見
小型犬、特にトイプードルの骨折といえば、手首に近い「橈骨(とうこつ)」が有名です。しかし、レントゲンが映し出したのは予想外の結果でした。
折れていたのは、手の甲にあたる「第2中手骨(ちゅうしゅこつ)」。 驚くべきはその細さです。マロンの骨はわずか0.7mmしかありませんでした。

積極的に手術でプレート固定ができるような太さではなく、今回はギプスによる「保存療法(自然整復)」を選択することになりました。
しかし、診断はそれだけでは終わりませんでした。 レントゲン写真の「第5中手骨」付近に、白く謎の金属片が写り込んでいたのです。
獣医師も「こんな小さな場所を金属で治療した例は見たことがない」と首をかしげる正体不明の遺留物。骨折のショックに加え、マロンの過去に何があったのか、新たな謎が浮上した瞬間でした。
あえて「痛み」を残す選択。ギプス固定中の安静コントロール
帰宅後、痛みがあるだろうと処方された鎮痛剤を1回分飲ませました。 すると、痛みが引いたマロンは、あろうことかギプス姿でまたぴょんぴょん跳ね、走り回ろうとしたのです。
これを見て、私は看護師として、そして飼い主として一つの決断をしました。
「多少痛いほうが大人しく過ごせるのでは?」
骨が細すぎるマロンにとって、今一番怖いのは「再骨折」や「骨のズレ」です。鎮痛剤で完全に痛みを取ってしまうと、自分の状態を過信して動きすぎてしまいます。
「少し痛いから、動くのをやめておこう」と本人に思わせる程度の痛みは、安静を保つために必要不可欠な要素だと判断し、あえて鎮痛剤の継続を中止しました。もちろん、食欲が落ちない程度の「痛みのコントロール」が大前提です。
二度目を防ぐための「自宅環境の再整備」
小型犬にとって、ソファやベッドからの飛び降りは、私たちが想像する以上に骨折のリスクが高い行為です。マロンのように骨密度が低い子にとっては、まさに「命取り」になりかねません。
当日のうちに、家の中のレイアウトを大幅に変更しました。
- ベッド: 立てかけて使用不可に
- ソファ: ソファベッドだったので、フラットにして高さを最小限に
マロンが「飛ばなくて済む」環境を徹底的に整えました。

次回は、レントゲンに写り込んでいた「謎の金属片」の正体に迫ります。 診療記録を辿って分かったマロンの骨折歴とは…





