【遺された痕跡】3年前の骨折治療と、体内に眠る「折れたピン」が招くリスク

通院・お薬記録

7歳のトイプードル「マロン」をお迎えしました。痩せ型で体重増加のために去勢をして元気が出てきた矢先、骨折していまいました。レントゲンには「謎の金属片」が写り込んでいました。

マロンの過去を明らかにするために、以前の病院から経過記録を取り寄せました。
そこには、現在のレントゲンに写り込んだ「謎の金属片」の正体と、マロンが過去に乗り越えてきた骨折の記録がありました。

判明した事実。創外固定ピンの「折れ込み」

過去の記録から、マロンは3年前(4歳のとき)に右橈骨遠位端(みぎとうこつえんいたん)骨折、つまり「右前足の手首に近い部分」を折っていたことが判明しました 。ここはトイプードルの骨折における好発部位です。

当時、マロンの右足の骨はあまりに細く、一般的なプレート固定は困難でした。そのため、骨の外側からピンを刺して固定する「創外固定法」という術式が選択されたそうです 。

創外固定のイメージ図

しかし、記録には衝撃の経過が残されていました。

  • 固定から1週間後: 第2指(人差し指に相当する部分)に刺入していたピンが折れていることが判明。
  • 判断: 骨折線のズレがなかったため、あえて抜去せずそのまま経過観察。
  • 固定から2ヶ月後: 創外固定具を除去。折れたピンの一部は、骨の中に遺残した状態で治療終了。

当時は、抜去による再骨折のリスクを避けるための「最善の選択」だったと考えられます。

骨の「吸収」が始まっている。画像から見るマロンの現状

当時は問題なかった「遺残ピン」ですが、3年が経過した今、状況は変化していました。 今回の骨折(右第2中手骨)で撮影したレントゲンを確認すると、遺されたピンの周囲で「骨吸収(こつきゅうしゅう)」が始まっていることがわかったのです 。

骨吸収とは、骨の組織が壊されて減少していく状態のこと。ピンという異物が長期間留まっていることで、その周囲の骨密度が低下し、スカスカになり始めています。

つまり、現在のマロンの右手は以下のようなリスクを抱えています。

  • ピンが骨を貫通するように残っているため、今から抜こうとすると骨ごと折れる危険がある。
  • ピン周囲の骨がもろくなっているため、次に強い衝撃がかかれば、この「ピンが入っている部位」から折れてしまう可能性が非常に高い。

まさに、いつ爆発してもおかしくない「爆弾」を抱えているような状態なのです。

今、できること。自然経過という名の監視

マロンはとても細い体ですが、元気に飛び回りたいという欲求が強い子です 。その自由を奪うことはしたくないですし、止めることも難しいでしょう。

ならば、私たち飼い主ができるのは、これ以上骨をもろくさせないための「攻めの守り」です。

  1. 栄養摂取の安定 ドッグフードは、それだけで必要な栄養がバランスよく摂れるよう設計されています。まずは、ムラなくしっかり食べてもらい、骨の再構築に必要な栄養を届けること。
  2. 日光浴によるサポート 気休めかもしれませんが、窓辺で日光浴をさせてビタミンDの生成を促し、少しでも骨の強化につながるよう願っています。

3年前の事故で遺された小さなピン。それは、マロンが懸命に生きてきた証でもあります。私たちはそのリスクを正しく理解し、監視を続けながら、マロンがマロンらしく過ごせる日々を支えていこうと思います。

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