前回の記事で、マロンの最新のレントゲン写真に「謎の金属片」が写っていたお話をしました。 「今、目の前で起きた骨折」の診断のはずが、図らずもマロンが隠し持っていた「過去の痕跡」に触れることになったのです。
私は、マロンのこれからの治療のために、どうしてもその正体を知る必要があると判断しました。
前の飼い主の記憶は曖昧。それでも真実を知りたかった理由
マロンを引き取る際、以前の飼い主さんからは「過去に骨折したことがある」とだけ聞いていました。抱っこから飛び降りた際に折ってしまったとのこと。
しかし、その記憶は非常に曖昧でした。 「右足だったか、左足だったか……」「いつ頃のことだったか……」 具体的な情報は何も残っていませんでした。
私自身、マロンの左手(左前肢)の手首が外側に曲がっている(尺屈している)のが気になっていたため、「過去に折れたのは左側なのかな?」と推測していた程度です。
唯一の大きな手がかりは、当時治療したという動物病院の診察券が手元に残っていたこと。 今お世話になっている獣医師に相談したところ、 「以前の病院に問い合わせて、カルテ開示や経過記録の共有を依頼してみては?」 とアドバイスをいただきました。人間でいうところの「セカンドオピニオン」や「転院」の際に必要なプロセスです。
「今回骨折した右前足(右前肢)の治療のため、前回の記録がほしい」 「左側にも骨折歴があるのか、正確な部位を知りたい」
この2点を確認するため、私は過去のカルテを辿ることにしました。
動物界の「診療情報提供書」を依頼してみた
医療従事者として日々カルテや紹介状(診療情報提供書)を扱っている身としては、こうした情報の引き継ぎは当然のステップだと思っていました。
まずは診察券の番号へ電話。 カルテ番号を伝えると、すぐに「マロンちゃんですね」と確認が取れました。 正直、この時点ではまだ名義変更の手続きも済んでいなかったのですが、本人(本犬)確認や譲渡の証明などを求められることもなくスムーズに進みました。「このあたり、動物界の個人情報管理は意外と緩やかなんだな……」と、人間の医療現場とのギャップに少し驚いたのはここだけの話です。
電話口で「右前足を骨折してしまったため、前回の治療内容やレントゲンの所見を詳しく知りたい」と依頼。 幸いなことに、当時マロンの手術を執刀した獣医師の先生がまだ在職中でした。先生が直接記録をまとめてくださることになり、1週間ほどで文書(診療報告書)を作成してもらえることになったのです。
繋がっていくマロンの過去
「なんとなく折れたことがあるらしい」というぼんやりした過去が、少しずつ形を持ち始めました。 マロンの体の中に残っている金属片は何のために、どこに入れられたものなのか。
次回、ついに届いた報告書から明らかになった、マロンの過去の骨折部位と「謎の手術」の全貌についてお伝えします。



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