「食べたい」を薬で作る?エンタイスを調べていたら、GLP-1ダイエットの”逆”の発想だった

コラム・気づき

マロンがエンタイスを飲み始めてから、「この薬ってどういう仕組みなんだろう?」と気になり、自分なりに調べてみました。

最初は「食欲が出る薬」という程度の認識でしたが、調べていくと「食欲はホルモンでコントロールできる」という、とても面白い世界が見えてきました。

今回は、自分自身の理解を整理するための備忘録としてまとめておきます。

食欲は「気合い」ではなくホルモンで調節されている

私たちは、お腹が空くと自然に食べたくなります。

「当たり前じゃん」と思っていましたが、その”空腹”にもきちんと仕組みがあります。

その中心となるホルモンがグレリンです。

グレリンは胃で作られ、空腹時に血液中へ分泌されます。

血液を通って脳(主に視床下部)へ「エネルギーが足りないよ」という情報を伝え、

マロン
マロン

おなかすいた。ごはんたべたい。

という状態を作り出します。

つまり、私たちが感じる空腹感は、グレリンによる生理的なシグナルの一つなのです。

エンタイスはグレリンそのものではない

エンタイスの有効成分はカプロモレリンという薬です。

これはグレリン受容体作動薬(グレリン受容体アゴニスト)と呼ばれ、グレリンそのものではありません。

グレリンはいわゆる「鍵」です。鍵穴にぴったりハマることにより、効果がでます。

内服したカプロモレリンが消化管から吸収され、体内でグレリン受容体(GHS-R)と結合することで、体は「お腹が空いた」と感じ、食欲が増します。

実はグレリンは「食欲ホルモン」として発見されたわけではない

これも意外でした。

グレリンが発見されたのは1999年。

しかも、「食欲を調節するホルモンを探そう」という研究ではありませんでした。

当時は、

成長ホルモン(GH)を分泌させる物質は、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)以外にもあるのではないか?

という研究が進められていました。

その過程で発見されたのがグレリンです。

つまり、グレリンには

  • 食欲を増進する作用
  • 成長ホルモン(GH)の分泌を促進する作用

の両方があります。

食欲のホルモンとして有名ですが、もともとは成長ホルモン研究の中から見つかったホルモンだった、という歴史があります。

マロンの骨折にも少し期待している理由

マロンは現在、骨折後の癒合不全があります。

もちろん、エンタイスは骨折を治す薬ではありません。

しかし、グレリン受容体を刺激すると成長ホルモンの分泌も促進されます。

成長ホルモンは体内でIGF-1などを介して骨代謝にも関わることが知られています。

だからといって、「エンタイスで骨がくっつく」

という根拠があるわけではありません。

ただ、「食欲が改善して十分な栄養が摂れること」

そして「成長ホルモン分泌作用も多少プラスに働くかもしれないこと」

この二つが重なれば、マロンにとって少しでも良い方向に働いてくれたらいいな、という期待は持っています。

あくまで期待であって、骨折治療そのものを目的とした薬ではありません。

人間にも同じ考え方の薬がある

調べていて驚いたのですが、人間にも同じような薬があります。

その一つがエドルミズ(一般名:アナモレリン塩酸塩)です。

こちらもグレリン受容体を刺激する薬で、主にがん悪液質に対して使用されます。

がん悪液質では、がんの進行による慢性的な炎症や代謝異常によって、食欲が低下し、筋肉量や脂肪量が減少してしまいます。

そのため、「食欲を回復させる」「筋肉量と体重の増加」という目的でグレリン受容体作動薬が使われています。

また、漢方薬の六君子湯には、胃から分泌されるグレリンを増やす方向に働く可能性があることも報告されています。

西洋薬と漢方でアプローチは異なりますが、どちらもグレリンに着目している点は興味深いところです。

GLP-1ダイエットは、ある意味で対照的な考え方

最近よく耳にするGLP-1ダイエット。

これを知っていたので、エンタイスの仕組みを調べたときに

「これって発想が逆なんだ」

と感じました。

GLP-1は食後に分泌されるホルモンで、

「もう十分食べました。」

という信号を脳へ送ります。

その結果、

  • 食欲が抑えられる
  • 胃の動きがゆっくりになる
  • 食べる量が減る

という作用が現れます。

一方、グレリンは

「まだ足りない。食べよう。」

という信号を送ります。

つまり、

グレリンGLP-1
空腹時に増える食後に増える
食欲を増やす食欲を抑える
「食べよう」と伝える「もう十分」と伝える

どちらも「食欲を調節するホルモン」ですが、働きは対照的です。

だから私は、

エンタイスは「GLP-1ダイエットを逆方向から利用したような薬」

というイメージを持つようになりました。

もちろん、医学的には単純に真逆というわけではありませんが、「食欲をホルモンで調節する」という考え方は共通しています。

調べてみて思ったこと

最初は、

「食欲が出る薬」

という認識しかありませんでした。

でも調べてみると、

  • 空腹もホルモンで作られていること
  • 食欲を増やす薬があること
  • 食欲を抑える薬もあること
  • 人間にも犬にも応用されていること

など、一つのホルモンから多くの話がつながっていました。

エンタイスは「ただ食べさせる薬」ではなく、体が本来持っている仕組みを利用して食欲を引き出す薬だったのです。

まだ勉強不足な部分もありますが、今回は自分自身の理解を整理する目的でまとめてみました。

もし今後、新しいことが分かったらこの記事も更新していこうと思います。

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